ソフト会社めぐり紀行 vol.2

はじめに・・・
この紀行文はかなり乱暴な言い回しで不満ばかりですので、もし気分が悪くなるかもしれない人は飛ばしください。

2000/03/06

この日はC社に行ってきたが、今日は説明だけで後日4回も会社に来なくてはいけなくなってしまった。もちろんすべて品川だ。いずれも旅費は出ないらしい。それが問題だ。

私はこの日新幹線で2時間かけ東京に着き、山手線で品川にやってきた。

 会社説明会は14:00からで、お約束のIT業界説明とC社の紹介、採用要項などの説明があったが、院卒初任給205000はどう考えてもおかしい。全然儲かっていない会社なら「まぁ、今は日本中で不況だからこれくらいはしょうがないね。社長さん」などと気軽に考えられるけど、C社のように社員をそれほど増やしていなくてもここ最近で売上を倍増しているような、もうかってもうかってしょうがないようなこの会社でこの初任給、しかも面接の旅費は出ない、おまけに住宅手当はない、社宅、寮もない、となると、わざわざ上京までして勤めるるような会社ではない、ということになってしまう。

 結局ソフト会社のほとんどは、社員はやる気さえあればいいと考えているのではないか。必死になって全国から集めようともしないのは、その辺の大学の学生でも十分に勤まるような仕事しかやってないのではないか、と考えさせられてしまう。

 ほかの業界ではたとえ仙台に支社がなくても、人事さんがわざわざこちらで説明会や面接をしてくれることもある。それなりに地方に応募者がいるからだろうが、ソフト系でもちゃんと地方在住の応募者はいる。そのような学生が何万もかけて3回も面接に行くほどお金持ちではない。つまり、そんな学生は別に来なくてもいいよ、「もう代わりはいっぱいいるんだから」という人事部のお偉いさんの考えがありありだ。

 いわゆる就職難なので今では文系でもソフト会社志望者は確実に増えている。そして、就職雑誌ではかならず「IT業界大研究」「これからはインターネットの時代です」といったフレコミがあるから、その中のソフト会社もかなり文系連中に注目され、応募者が絶えることはまず無くなっているようだ。そのためわざわざ旅費を払わなくても学生がくるから払わなくてもいいよ、そんなもん、と言っている人事部長がまたもや目に浮かぶ。

 だいたい、地方から東京近辺の企業に就職するときに、安月給で寮も社宅も住宅手当も出ない会社に就職する気になるだろうか。100人中99人はならないと断言してしまってのいいですよね。お父さん!

 その会社は翌々日に試験を行うそうだが、もちろんキャンセルした。もう就職活動自体にやる気がうせてかけていた。

 その日は有楽町線沿いの氷川台にある先輩のアパートで泊めてもらった。先輩ありがとう!

2000/03/07

 今日は4社回るつもりだ。
午前中から会社訪問、会社訪問、面接(本命)、会社説明会と回る予定だ。

 最初に回ったのは池袋のS社で、社員は80名程度だがそれなりに古い会社のようだ。オフィスは一昔前の事務所のような感じで、ソフト会社としてはかなり地味な方ではないかな。ほとんと事務机でパソコンを操作してたみたいだし。

 10時に会社に行ってみると、僕のメールを受け取って取り次いでくれるはずの人がおらず、どうしたものか、と戸惑ってしまった。聞いた話ではその人は親戚に不幸があったとかで急に実家に帰っていたらしい。で、かわりの人が会社訪問カードを持ってきて、「それじゃ、これに書いてください」と言い自分の仕事に戻っていった。

 「う~ん」と心の中でうなりながら、とりあえずカードに記入した。カードといってもA4サイズで簡単な履歴書のようなものだ。

 記入項目は、初めは大学名や住所など普通だが、質問の内容が途中から椎名誠バリに「ややや」となるものもある。「あなたが読んでいる週刊誌の名前は?」「休日は何をして過ごしていますか?」こんな質問に本気で答える人がいるのだろうか? もともと本気で答えるつもりで書いていても、こんな質問が出た日には本気で書く気がうせてしまうだろうなぁ。休日まで管理されなければならないのか?

 たぶんこの質問を考えた人は、その人のなり、人格を知りたいから、その質問を設定したと思うが、そういうことは面接でやってもらいたいんだよ。そのために面接があるんじゃないのかい?

 結局この会社ではろくに説明も聞かせてもらえず、パンフをもらって11時半にはもう会社を出た。次は13時半に横浜の会社に行かなくてはならないから、悠長にお茶など飲んでいられない。

 閑話休題。今まで回ったソフト会社では、会社訪問するとたいていコーヒーかお茶を出された(ありがとうございました)。んで、出す人はやっぱりたいてい女性なんだけど、おばちゃんからアルバイト中の現役大学生までさまざまだった。さまざまだったけど、それはそれで会社からしてみれば最高の接待をしてくれたんだろうなぁ、と思ってもいる。普通の会社なら若いOLさんがやらされるかもしれないけど、回ったソフト会社は基本的に新しいところが多いから、まだまだ不要な人材を採用していないような感がある。できるだけ経理、総務など事務的な業務の社員よりは一人でも多くのソフト開発技術者を採用しよう、という方針がわかる。

 この日二つ目の会社はSL社だ。横浜のある駅から大通りの方へちょっと歩くと貸しビルの中にあった。着いたときはちょうど5分前だった。昼飯を食べてたら間に合わなかったなぁ。でも腹も減ったなぁ、なんてことを思いながらの訪問だった。

 社内はなかなか明るく、広く、きれいだった。というより、この貸しビル自体が結構広いみたいだ。今年、来年入ってくる社員用の場所も確保している。

 案内され奥の面会室で人事担当者にいろいろと聞いた。最初に「これは交通量にもなりませんが・・・」と言って封筒を渡してくれた。「おぉ、儲かってるんだねぇ、人事さん!」と思いつついただいた。思えば、今回の訪問旅行で初めての交通費支給だ。そう思うと、妙に感動してしまった。そして、この人に今思っていることをできるだけ話そう、と心に決めた。いきなり初対面で本音で話すのもちょっと行きすぎかもしれないが。それでも実際にいろんなことを話し、ちゃんと聞いてくれた。

 この会社は設立4年目で社員70名程度。2、3年先に店頭公開を目指しているそうな。なかなかいい感じだ。開発実績は衛星放送の番組管理システム、 WEB関連のツール、ミドルウェア、交通管理システムなど、分かりやすい開発が多い。新しいプロジェクトも進行しているということで、なかなか面白そうではある。多分地元にこんな会社があったら絶対入社しているだろうなぁ、って思いますねぇ。

 途中からなんとか部長さんも来てより詳しく履歴書のことなどを聞かれたが、いつのまにかそれが面接になっていて、「それじゃ、あとで内定通知をおくります」なんて言われてしまった。かなり面をくらってしまった。でも、その予測のできない所がそれはそれで、(いい意味で)ギャンブル的で好感が持てた。就労条件もいいので、もしほかの会社が全部だめなら、横浜に上京してここで働いてもいいなぁ、と思いながら会社を後にした。それは今まで回った会社の中では初めての考えだ。もう昼食のことは忘れていた。

 それは、弱みにつけこまれたようなものである。彼氏に一方的にふられ、「もう私の気持ちはブルーマウンテンよ」なんていう女性にやさしく接したら「あぁ、私はあなたのものよ、ウッフン」なんてことに近いのかもしれない。

 しかし、次の3つ目会社にも行かなければならない。ここもさっき降りた駅の近くなので歩いていける。4時から面接の予定なので、それまでに駅のそば屋で大盛り掛けそばを食い、鋭気を養った。「鋭気を養う」と言うには、うなぎやカツドンがぴったり来そうだ。しかし、うなぎやカツドンはみるからに栄養がありすぎて、外部からの何かの力によって鋭気を養っているようで、なんとなく嫌だ。掛けそばくらいなら自力で鋭気を養って「よしっ、やるぞ」というリポビタンDのCMっぽい言葉が浮かんでくるのです。私には。

 で、次の会社は面接だ。しかももう2次面接。これをパスして次の役員面接もパスすると内定がもらえるらしい。

 この会社はかなりでかい、のに、2次面接まで旅費が一切出ないのである。これは真につらいのである。しかし、どうやらこの会社の説明会にきていた学生はほとんど(おそらく全部)が関東の学生らしい。千葉あたりだともうかなり遠いらしい。

 そう、だから私みたいに「ソフト会社めぐり紀行vol.2」なんてやっている人はかなり珍しいのだろう。人事さんと話してもみんなそういう顔をするし。まぁ、前に回った会社では単に「なんだこの田舎ものは」という顔をしていた人もいたけど。だいたい、究極の田舎ものは東京に移住した人で、全国から人が集まってくるからもうわけがわからなくなっているだ。だからちゃきちゃき(死後?)の江戸っ子が「東京は変わった」なんてことも言ってしまう。しかし、そんなことを言ってても始まらないけど、怒っても仕方ない。

 というわけで、その会社で2次面接を受けてきた。面接官1人で、学生が私をいれて2人だ。そいでもって、面接官が交互に質問する。

 面接官はやはり慣れているようなので、こちらの話をうまく広げられるような聞き方をしてくる。それはそれで話しやすい。ただ、やはり面接となると、対話、会話とは違うので、これまでの個人的な会社訪問と勝手が違い、気軽に聞きたくても聞けないもどかしさがあった。面接官はいろんなことを聞きたいのだろうけど、こちらだっていろんなことを聞いてみたいのに。質問は最後に1回だけだった。もっと質問してもよかったのかもしれないが、かなり時間が推しているようで、「こんなに時間が推しているのにまだ質問するのか、コイツは!」なんてことになるのではないか、と一人被害妄想的発想もしてしまったので、とりあえずそのくらいにしておいた。

 その面接のときは、学生は2人で受けた。もう一人はもちろんまったく知らない人で、たしか千葉・・なんとかかんとか大学3年という話だった。自分が答えていないときは暇なので(笑)隣の彼を観察していた。

 彼は私よりも受け答えがよく、はきはき話すのでそういう意味では面接官には好感がもてる人だ。私はどちらかというと、話の要点だけをはっきり伝え、あとはあまり正確に話さないところがある。ただ、彼の話し方はどうみても「わざとらしい」としか思えない。前の1次面接のときも控え室ではかなり適当な話し方をしていた連中が、グループ面接になると「あれっ?あんたさっきいたっけ?」と思うくらい人が変わる。話し方、話す内容がわざとらしい。なんかびっくりというよりあきれてしまった。

 面接官に失礼がないように話すのは当然だが、面接時に一番注目されるのはその人の本性だろう。だから、多少言葉遣い、動作がどうたらこうたらよりも、本音で何を考えているか、を面接官は知りたいのではないか、と思う。それを見抜かないと、あとで内定をキャンセルされてしまうから、人事さんも大変なんだろう。

 そう思うと、私は答えられることはすべて本音で話してきた。面接でも会社訪問でもそうだ。「なんで私どもの会社を選んだのですか」と言われたときに、本音で答えてもちっともはずかしくない理由があるから、本音で答えられる。あたりまえなのかもしれないけど。

 ところが、私の周りにいた関東近辺の学生は、面接や説明会の質問で、本音を言っているような気がしない。というより、本音を隠して、その会社その会社に都合がいいような受け答えをしている。そんなことは控え室で軽く談笑していると分かってしまう。

 なぜ、隠すのかというと、やはり本音は「とりあえず内定がほしいから」「有名なメーカーだから」が多いらしい。それなら、それを理由として自分の口から言ってみるのもバカボン的正直者でいいのではないかと思う。たいていの人事さんは、本気でウチの会社に就職しようと思っているかどうか、は分かると思う。業界の専門的な知識の話や志望動機の話をすれば一発なのではないか。だったら、もう学生は本音でいったらどうだろうか。「とりあえず」というとネガティブなので、「どうしても」と言えばほんのちょっとは印象が良くなるだろうし、「直感で選びました」と言えばはっきりしてて、逆に印象に残るかもしれない。どちらにしてもウソをつくのは止めたほうがいい。野球でキャッチャーが捕球の瞬間にミットをストライクゾーンにずらすように、ウソやだましが癖になっては、審判の目が狂ってくる。

 その辺はいろいろぐちぐちとあるのだけど、これだけは言いたいのは、学生が「御社の教育制度に惹かれました」というのはどう考えてもおかしい。初任給や事業方針に惹かれるのは分かるが、まだ社内教育を受けてもいないのに教育制度に惹かれました、というのはいったいどういう根拠があって言っているのか、おもしろおかしい。「御社は・が素晴らしく、・に惹かれ、・という実績があるので」と誉めまくれば内定をもらえると勘違いしているようだ。

 で、愚痴がとまらないのでさらに続けるが、最近は大学新卒の社員のおよそ3割が3年以内に退社するらしい、ということは有名だ。将来性を買って新人を採用しても、そんなに辞められたのでは、会社には大きな損失だろう。いやもう金額的、時間的なものではなく、何か精神的に無駄が大きいのでは、と思わされる。面接官は「この中の3割は辞めるんだろうなぁ」と考えながら面接をしているのかもしれない。これはこれでなかなかやるせないことではある。

 いいかげんに本題に戻ると、面接はなんとか終了し、旅費ももらえず、この日4つ目の会社へ行ってみた。

 駅から一つ下って、なんとか会館へ行く。ここで会社説明会が行われるが、なんと18時から説明会を開始! 終わるのは21時以降だそうだ。もう、訳分からなくて笑ってしまそうになった。20時には終わるようなことが葉書で書いてあったのに。

 話によると、どこかの大学の教授がこの会社(の役員)に「就職活動と学生の本業である学業が重なるのはどうか」と言ったことが原因らしい。この教授の素晴らしく自己中心的な発想はどこからくるのか。おそらくこの教授はこの会社のOBなのか、この教授の研究室の同僚、学生がこの会社で重役になっているのではないか、と考えられる。

 しかし、私のような遠方から来ているような学生にはどうしろと言うのか。さんざん電話で会社説明会に誘っておいて、最終電車で帰れないような時間まで説明会を実施し、野宿でもしろ、というのか。その辺のところをこの会社の人事部長さんに、どうなんだー、えー、と長州力口調で聞いてみたい。

 その説明会は100人規模で時間は変更せずに何度か開くらしい。150人くらいいたかな。会場は産業会館だけど、かなり豪華なホテル風のつくりだった。250名程度の会社にしてはなかなか素晴らしいものではあった。一瞬、もしかして夕食が出るのでは!と思ったが、そんな気配はまったくなかった。それほど私は歩き疲れていた。

 お約束のIT業界説明、会社説明の後、入社1年目社員による説明等など聞かされた。かなり豪華な会場で説明会を開いている割には、やっていることはなかなか地味だった。

 わたしの席は一番後ろだったので、学生も含めて説明会を客観的に眺めていた。結構女性もいるようだ。でも話が長引くにつれ、下を向いてウトウトしている人もいた。そりゃ、話に興味があるかどうか以前に、こんなに長い間暖かい場所で話を聞かされたら、だれでも眠くなるだろう。

 やっぱり会社説明会というのは、個人的な会社訪問と比べるとかなりつまらない。就職活動自体に面白いとか、つまらないというのはナンセンスかもしれないが、つまらないことにはやる気が起きないので、面白いと感じられた方がいいはずだ。会社訪問の方がある程度緊張するし、うまくいけば旅費をもらえるし、直接技術者とディープな会話ができるし、会社の苦労話や弱み、企業秘密も聞けるし、何より業界の裏が見えてくる。やっぱり、得られるものは訪問した方が10倍以上はある。そうやって得たものから新たに自分を見つめなおすことができる。これこそ本当の就職活動のような気がする。

 さてその説明会では、最後に適正テストなるものを受けさせられた。これはかんたんな計算ルーチンを作成する問題だが、演算子が制約されているのでちょっとむずかしかったかもしれない。mod (除数)なしで整数が奇数か偶数かを判別するとか。でも私は全問解いたっす。いちおうACMのコンテストに出てる身としては解かないとやばいなぁ、というプレッシャーはあったなぁ。

 結局その会社からは全然連絡がなかったけど、面接に3回行かなければならないので、もし1次面接に呼ばれてもキャンセルするつもりでした。旅費は多少は融通が利くようなことを人事の人は言っていたようだが。

 良くも悪くも普通の説明会になってしまったが、なんか気に入らなかったのが、3階から1階に下りるエレベータの入り口や、会場の出口で社員が「おつかれさまでした」と言ってお辞儀してくる所だ。あんたらはホテルのボーイさんかい?と聞いてみたかった。おそらく上司からそうするように言われてきたんだろうけど、そんな無駄なことをするならもっとはやく終わらしてくれないかい? 私はもうそこにいるのはやりきれなかったので、近くの階段でススッと降りていったのでした。

 結局終わったのは21時半だった。もうどうでもいいやぁ、という心境だろうか。サラリーマンだったら絶対飲みにいってるんだろうなぁ。しかし、もうそんな気力もなく先輩のアパートに泊まりこんだのでした。

2000/03/08

この日は2社回る予定だ。そしてそのまま新幹線で帰る。

午前中は御徒町駅近くの小さいソフトハウスだ。実はここの代表者から、すぐにでも働いてくれないか、という誘いのメールを貰っていた。

もちろん経験者として採用してくれるそうで、賃金もそれなりだった。もし会社の近くに住んでいたならすぐにでも働かせてもらったかもしれないが、現実問題としてあと1年学校やバイトが残っていたので、 そっちをほったらかしにしてまではできなかった。

ただ、この「ソフト会社めぐり紀行vol.2」で、この日の午前中はちょうど時間が空いていたので「それじゃあ、訪問してみたいのですが」と連絡して訪問することになった。

会社は御徒町駅からちょっと歩いて、かなり狭い貸しビルの2階にあった。はっきり言って、最初は通り過ぎてしまいました(笑)目印が何も無かったんだもの。
入ると中には1人しかおらず、その人Kさんがメールや電話でやりとりした人だったので安心した。

この会社は設立2年くらいで従業員は20名程度、ただ長年の技術者ともうすぐ大手メーカーを退職する経験者が入ってくるそうで、これから株式会社をめざして頑張っている、という会社だ。

どんな話を聞けるのかと思えば、最初は2000年3月卒業予定者の選考に関してだった。関東近辺の未だ就職先が決まっていない学生がWEBに登録したリストのプリントを見せてくれた。所々に赤ペンで印がついている。

これにはなかなか驚いた。これほど就職難とは、と改めて実感した。Kさんはこの中からできるだけプログラムに長けている学生と連絡を取っているそうだ。

就職難を実感して驚いたのもあるが、それよりも驚いたのは、学生が登録時に書くPRの欄だ。数行程度で終わっている人が多く、彼らは本気で就職する気があるのだろうか、と疑ってしまう。どうも、切羽詰っているという気がしなかった。

その話の後は、この会社が現在下請けしている仕事に関してだった。これはかなり生々しいのでそのまま載せるのはなかなか勇気がいる。簡単に説明すると、仕事をある省庁から直接請け負ったA社は、そのシステムを開発できるかどうかは別にして、とりあえず仕事を請けてしまった。しかし、A社ではそのシステムを開発するのは困難なので、長年このシステムを開発してきた経験がある社員のいるKさんの会社が下請けという形で協力することになったが、プロジェクトの主導権をどの会社が持つかでもめているらしい。

たぶんこういう話はこの業界では日常茶飯事なのだろうけど、例のオウムソフト事件のことなどでソフト業界がどのようなしくみになっているかが一般に知れ渡ると、このような業界の構造を問題として指摘する人は増えてくるはずだ。

話の内容がいかにも中小企業的で、本当に面白かった。そして帰り際にKさんに2枚ももらってしまった。ありがとございました。この後は午後から渋谷のソフト会社の説明会に行く予定だ。

御徒町から渋谷までは地下鉄(銀座線だったかな?)で行くことにした。駅に向かう途中山手線の下をくぐった辺りで下町風の店があり、なかなか雰囲気がよかった。時間があったらもっとゆっくり見てみたかった。

御徒町付近だと、上野とか秋葉原とか神田の方が有名だし、そこにあるもの、店は誰でも知っているような場所だから行けば安心するのかもしれないけど、御徒町駅付近はなかなか昔の名残があっていい感じがした。

昼前に渋谷に着いた。着いたときに、「渋谷のソフト会社は珍しいんじゃないかなぁ」と考えていたけど、駅から出るとずらっと銀行が並んでいたので、これなら納得できた。

説明会は13:30からだったが、まだ時間があったので近くのラーメン屋で昼食を済ませ、ほぼ満タンにして説明会へ向かった。説明会は本社内で行われる。

この会社は設立20年程度で、従業員は70名程度。バイトもいる。パッケージソフトの方が有名な会社かもしれない。もちろんシステムなんかも設計、開発している。いわゆるユーザー系ソフトハウスだ。

説明会には10数名程度が出席した。若者の町渋谷なのだから、もっと出席者がいてもいいようだが、そうでもなかった。あいにく席の一番前に座ってしまったので、どんな人が参加していたかはわからなかったが、女子が異様に多かったのだけは覚えている。これはもしかして「渋谷効果」なのだろうか。

説明会では実際に公開している会社のホームページを使いながら紹介してくれた。やはりユーザー系ソフトハウスだけあって、親会社からの仕事が半分近かった。このため親会社が存在する限り会社は存続できるのだろうが、なかなか事業規模を拡大できない感もあった。それでも独自のパッケージソフトを開発し、 WindowsだけでなくLinux,FreeBSD等にも移植しているところを見るとなかなか技術力はあるようだ。説明の最後にパッケージソフトの1つを実演してくれた。これはこれでなかなか面白かった。

説明している間は、学生から見て右前に座っていた女の子が、話を聞きながら妙にうなずいていた。話し手もそれを見ると安心するのか、そっちの方をチラッと何度か見ながら説明を続けていた。それにしてもあの女の子のうなずき方は、どうなのか。人の話を聞いてそんなにうなずくものなのか。どんなことを話していてもうなずく。まるで「赤べこ」だ! 見方を変えれば新興宗教の信者が説教を聴いている感じだった。

この日は説明と簡単な作文があり、テーマは3つから選べる。プログラムのことを知らなくても書けるテーマもあるので、いろんな人を採用しようという思いを感じられた。

そして休憩後、実際の開発室をぐるっと見学させてもらった。ちょっと狭い感じはしたものの、書籍なんかはそれなりに充実していて、いい環境ではあったようだ。

見学のあと、元の部屋に戻ろうとしたとき、学生の一人にめちゃくちゃ綺麗な女の子をみっけてしまった。それはうまく説明できないような衝撃を受けた。なんであんたみたいな綺麗な人がこんな小汚い(すいません)ソフト会社に来ているの? と考え込んでしまった。大学か短大かは知らないが、その子は会社を選ぶときに職種を特定しないのか、もしかすると僕みたいにめちゃくちゃプログラムが好きなのか(それは無いか)、どっちかわ分からないけど、これももしかすると「渋谷効果」の1つなのかもしれない、と自信から確信へ変わった。

SE業の女性の割合は増えていると思う。それは他に就職先が無かったとか、SE業が拡大しているとか、面白そうとか、パソコンが楽しいから、という理由が考えられるけど、単純にプログラムに関する興味は男の方が強いような気もする。ベクターなんかに登録している作者でもやっぱり男の方が多い。女性はメールやインターネットは好きかもしれないけど、「どうやってメールって送られるんだろう?」という疑問を持って、それを自分で調べる人は少ないと思う。それはビデオデッキの説明書を読みたがらないのにもちょっと似ているような気がする。うーん、これって差別発言?

この会社でソフト会社めぐり紀行vol.2は一応終わり。この日はすぐに新幹線で帰った。